JPDA(公益社団法人日本パッケージデザイン協会)は、日本のパッケージデザインの発展と普及を目的として、2022 年「JPDA 学生賞」を創設しました。
科学技術の飛躍により人は便利で快適な生活を営めるようになりました。その背後でパッケージの機能性や物流の効率化が進み、私たちは場所や時間に縛られない自由なライフスタイルを手にしています。毎日の暮らしに欠くことができない商品は自然環境とも密接に繋がっており、パッケージは持続可能な社会になくてはならないデザイン領域です。
人はパッケージデザインによって商品情報を得ることができます。情報は文字や写真に限らず、形、色、素材、マーク、触感など、感性価値を伝達する役割も担います。このように書き出してみると、パッケージデザインは商品と人、コトと人をつなぐコミュニケーションでもあり、商品やサービスの経験を共有する体験デザインでもあります。
歴史を遡ると、日本には世界に誇れる自然があり、日本人は万物を尊びながら美しい大地の恵みを伝統包装に生かして来ました。しかし時代とともに独自の包装文化が失われつつあることは残念です。想像してみてください。昔の人はどのような気持ちで大切な食料を包んだり、贈られた包みを開いたりしていたのでしょう。中身の歴史や文化にもパッケージデザインを考えるヒントがあります。様々な人の立場になって商品やサービスと出会う瞬間をイメージしてみましょう。日々の生活にある喜怒哀楽にも目を向け、これからのパッケージデザインを創造してください。
JPDA 学生賞が、将来パッケージデザイナーを目指している学生のみならず、幅広いデザインに挑戦してみたいと考えている学生の成⻑機会となることを願っています。
理事長 信藤洋二